逆転

定時後病院へ。

昼間に抜糸を行い、退院も明日に決定。
そうこうしていると、嫁が先生に呼ばれる。
家族の人も一緒に、とのこと。

なんかすごい嫌な予感。

先生の話。
取った腫瘍は良性ではありませんでした。
境界悪性という部類のものでした。
悪性ではありません、だからガンとかそういうものではありません。
でも決して良いものではありません。
腫瘍が境界悪性だと、残した卵巣も境界悪性の疑いがあります。
だから残した左の卵巣も切除しましょう。
更に右の卵巣からも細胞を採取して検査しましょう。
再手術は来週行いましょう。
だから退院の話も無しです。


・・・(゚д゚)


・・・( ゚д゚)


・・・(゚д゚ )


・・・(゚Д゚)え?


嫁も、俺も、嫁の両親も、4人とも固まる。

境界悪性? 卵巣取る? 再手術? 退院は無し? なにそれ?
ここまで頑張って手術して、回復して、こんなに元気なのに?

こういうときに限って、一番冷静なのって本人だったりするよね。
嫁はちゃんと状況把握をして、手術に同意して、
でも一時的でもいいから退院はしたい旨を、しっかり伝えてた。

俺ら3人は、やっとこ声が出ても、腫瘍のことしか聞けなかった。
結局、全ての話は嫁が対応した。

しょげた感じもあったけど「やるしかないから」と顔を上げてた。
嫁の両親もそれを見て、かわいそうと思いながらも納得したのか帰っていった。

両親が帰ってから2人で病室に戻ると、ご飯が置いてあった。
嫁が「食わないと治らないから」と言って無理やりご飯を口にねじ込んだ。

ねじ込みながら泣いてた。
なんで私だけと言いながら、ご飯粒を溢しながら泣いてた。

せめて両親には不安を与えたくなかったんだろうと思う。
自分ばっかりが不幸だ、と嘆きながら、
それでも人のことばかりを気にする嫁は本当にやさしい奴だと思う。

気がついたら、面会時間の19時を過ぎていた。
しかし嫁をこのままココに置いて行けず、看護士に相談。
そのまま先生とも相談し、
この日は外泊扱いで家に帰らせていただくことにした。

嫁に身支度させ、荷物を軽くまとめる。
明日退院とはいえ、一度はココに戻るので、
今日は必要最低限のものだけ持って帰る。花とかは明日だ。

医者、看護士にお礼を言って、病院を後にする。

家に帰る。久々に一緒に過ごす夜。
すげぇ嬉しかったけど、すげぇ悲しかった。